気候風土適応住宅とは

2021年10月29日

2020年の「建築物省エネ法」を改正して高気密・高断熱性能を強化することを義務化する方針が打ち出されました。しかし、この基準を守ると建物の外観が閉鎖的になりがちで、高気密高断熱住宅など「閉鎖系」住宅の外皮性能を想定した基準であるため、地域の気候風土に適応した「開放系」の温熱環境調整手法による家づくりが困難になることがわかってきました。

そこで地域の良さを大切にしながら省エネを達成するための方法として、「気候風土適応住宅」という枠組みがつくられました。

「気候風土適応住宅」は、民家や日本家屋の知恵や四季の季節を味わう生活習慣を活かすことで、快適で省エネな住宅をつくろうという指針です。

昔ながらの木の家の良さを活かした新築住宅で温熱環境の実測をしたところ、省エネ効果が高かったこと、さらに、実際に古民家が100年以上も残っていることから、木の家は省エネ・長寿命で環境問題にも貢献するということがわかってきました。

「気候風土適応住宅」は住まい手からの申請に応じて特定行政庁が認定をするという仕組みです。

認定にあたっては国のガイドラインや、地域独自に策定した認定指針などが参考にされます。このガイドラインで示されている例が、縁側や土間・土壁、木製建具などです。

そして「気候風土適応住宅」には、通常の住宅に求められる外皮性能は適用されません。

「気候風土適応住宅」では、省エネ基準は緩和されますが、一定の基準を満たしていることが必要です。

外皮性能が適用されない分、風通しのよい間取りづくり、深い軒で日差しを遮ったり、縁側の内側に障子を入れて緩衝帯をつくるなど日本伝統、パッシブデザインの方法で、夏涼しく冬暖かく暮らすことができるのです。

※気候風土適応住宅として認定されると、最大100万円の補助を受けることができます。