シックハウス症候群 ~5千人調査、3割に可能性

2022年03月14日

千葉大学予防医学センターの鈴木規道准教授らの研究グループは、シックハウス症候群予防にむけて、全国の20〜70歳の男性3,238名、女性1,758名、計4,996名を対象に、発生に関連する個人の要因や生活スタイルを調査されました。

その結果、住宅購入時の選択や生活スタイル等の改善でシックハウス症候群を予防できる可能性が示唆されました。
本研究結果は、Building and Environmentに2021年6月17日にオンライン公開されました。 

鈴木准教授らの調査では、新築またはリフォーム5年以内の住宅に住む約3000人を含む約5000人から回答が得られ、うち約27%がシックハウス症候群の可能性があるとされました。

シックハウス症候群を引き起こす室内の空気汚染は、住宅の建材や家具に使われる塗料、接着剤、防腐剤などの化学物質やカビ、ダニなどが原因です。さらに、省エネのため住宅の隙間がなくなり、汚染物質がこもりやすくなっています。

建材の化学物質は、建築基準法が2003年と2018年に改正され、規制がかけられました。

それ以降は、シックハウス症候群の人が減少したとの見方もありましたが、鈴木准教授らの調査では現在も少なくないと言われます。「規制されていない化学物質を含む建材の使用が原因の可能性もあります」と推測されます。

調査によれば、シックハウス症候群は、女性で男性の1.2倍起こりやすく、20代、30代、40代は60代と比較して、それぞれ約2.4倍、約2倍、約1.4倍、ぜんそく、アレルギー性結膜疾患、食物アレルギーの人は疾患歴のない人のそれぞれ約1.4倍、約11.5倍、約1.6倍リスクが高くなりました。さらに、「神経性が敏感な人」はそうでない人に比べ約1.6倍リスクが高くなりました。

生活環境に関しては、室内の喫煙、カーペットの使用、ほこりをよく目にする室内環境で、そうした要因がない層と比べてそれぞれ約1.3~1.6倍リスクが高くなりました。

そのほか、化学物質を低減した自然素材の住宅に住む人は、そうでない化学建材を多用した住宅に住む人に比べて、リスクが23%低いというデータも得られました。

予防法について、鈴木准教授は「今回の結果から、室内で喫煙しない、カーペットの使用を控える、室内を適切に掃除するといった対策が有効と考えます。さらに、建材や家具などに使われる化学物質に注意することが重要です。小まめな部屋の換気もお勧めします」と話されています。